ⅰ呼吸が深く出来る
枕はピッタリの高さに合わせると呼吸が深く入るようになります。タオル1枚分、高くても低くても駄目です。ピッタリと合わせるだけで、明らかに呼吸の深さが違います。
呼吸は、肺と気管支が働くことで呼吸をします。そして、この肺と気管支を動かしているのが脳で、脳の命令が神経を伝わって肺や気管支を動かしています。
しかし、枕の高さが合っていないと、第一頸椎に上下のズレが生じてしまい、第一頚椎の真ん中を通っている脊髄神経が圧迫を受ける。すると、肺や気管支に伝わっている神経も途中で止まってしまい、脳の命令が肺や気管支に100%届かなくなり、呼吸が浅くなってしまうのです。
そこで、呼吸を深く出来るようにするには第一頚椎の上下のズレを取ってあげる必要があります。
第一頚椎の上下のズレは顔が真っすぐ前を向いた状態にしてあげればいいわけです。仰向けで寝ている状態なら真上を見ている状態。地面と垂直に顔の面が真上を見るようにピッタリと枕を合わせてあげれば呼吸が深く出来るようになります。
ⅱ全ての筋肉や関節が柔らかくなる
枕はピッタリの高さになると、手首、足首など体にある全ての関節や筋肉が柔らかくなります。
関節や筋肉が柔らかくなる理由は呼吸が深く出来るようになるのと同じく、首の第一頚椎で神経が止まっているものを枕の高さを調整して、第一頚椎の上下のズレを取ってあげれば、神経が100%体に通うので筋肉や関節は柔らかくなる。筋肉や関節を支配しているのは運動神経、運動神経が100%流れるようになるということです。
自分一人では枕の高さを合わせたら「手首の関節が柔らかくなった」と実感することが出来ないので、手首が柔らかくなったことを実感したかったら、他の人に手首を動かしてもらうと、手首の硬さが変わった事を感じる事が出来ます。
手首はほとんどの方が通常右か左の片方だけの手首が硬い状態となっています。手首が硬いと感じたことがある方はほとんどいないでしょうが、左右を比べてみるとわずかながら違いがあります。
しかし、枕の高さをピッタリとして寝ると、硬かったほうの手首が柔らかくなり、左右の手首の硬さが同じようになります。もちろん個人差があるので、左右の手首が同じ柔らかさにならない方もいます。しかし、ほとんどの方で硬かった方の手首が多少なりとも柔らかくなります。
これは足首でも同じで、足首も左右で硬さが違います。片方の足首は柔らかく、反対側の足首は硬い。それが枕の高さを合わせると、硬かった方の足首が柔らかくなるのです。
足首の硬さは自分でも感じることが出来ます。寝ている時に足首を上下、左右、または円を描くように動かしてみると、左右どちらかの足首が硬いことが分ると思いますので試してみてください。
手首の関節は小さいので動かしてみても、硬いのか柔らかいのか非常に微妙な違いなので硬さを判断するのが難しいのですが、対して足首は関節が大きいので硬いのか柔らかいのを見るのに違いがはっきりと分かるので、枕の高さを見る指標にするのに適している。自分ではなく、家族の枕を合わせる時とか、整体や病院などで患者さんの枕を合わせる時などは足首の硬さを目安にして枕の高さを合わせると簡単です。
また、枕の高さをピッタリと合わせるとアゴの関節、顎関節も柔らかくなります。
人によって感じ方は変わりますが、枕の高さが1mmの狂いもなくピッタリと合うと口が大きく開くように感じたり、ガクガク鳴っていたアゴが鳴らなくなったり、もしくはガクガクが少なくなったり。あとは、奥歯の噛み締めがなくなったり、スムーズにアゴが開くように感じたりします。
そして、どなたでもアゴに変化が出るのは、左右のアゴの動き出しが一緒になります。
左右のアゴの動き出しを見る方法は図のように両手の指を左右のアゴにあてて、口をゆっくりと開いてみます。この時、どちらかのアゴの方が先に動き出し、どちらかのアゴが後から遅れて開いていく。これを左右の指でどちらのアゴが先に動いたか感じてみる事で分かります。
これが、枕の高さをピッタリと合わせると左右のアゴの動き出しが同じようになるのです。ただし、口を開ける時のアゴの動いている途中や終盤は一緒にはなりません。あくまでも口を開ける時のアゴの動き出しのタイミングだけが一緒になります。
また、枕の高さをピッタリと合わせると関節だけでなく、体中の筋肉も弛みます。
筋肉が柔らかくなったかどうか見るのに分かりやすいのが、首にある胸鎖乳突筋。胸鎖乳突筋は頭蓋骨の耳の後ろの辺りから、胸の上、鎖骨の辺りにかけて付着している筋肉です。首の筋肉の中でも表面にあって、左右1本ずつ浮いているような筋肉なので、痩せている人などは見た目でも判るぐらいの触りやすい筋肉。
この筋肉も首の左右についていて、片方だけが硬くなっている方が多い。胸鎖乳突筋も枕の硬さをピッタリと合わせると、硬くなっていた方が柔らかくなりますが、もともと柔らかかった方の筋肉もさらに柔らかくなる事が多いです。
筋肉の硬さを見るには、指で触って見たり、親指と人差し指でつまんで硬さを感じる。胸鎖乳突筋を自分で触る時は、左右にある胸鎖乳突筋と反対側の手で触ると硬さが分かりやすくなります。
右側の胸鎖乳突筋を触るのに、右側の手で触ってしまうと、右手を上るのに首の右側の筋肉も使ってしまい、胸鎖乳突筋が硬くなってしまう。ですので、右側の胸鎖乳突筋を触る時は左側の手で触ります。
この胸鎖乳突筋の硬さは比較的簡単で誰でも分かりやすいと思います。
ⅲ 枕の高さを合わせる手順
では実際に枕の高さを合わせてみましょう。
① 壁の前に真っすぐ立った時の状態で、頭と壁との間の距離を想定し、その高さに合うようバスタオルを4つ折りにし重ねて枕を作ります。土台枕を使う場合は土台枕の上に4つ折りにしたバスタオルを敷いて下さい。最初の枕は予想より高めに設定したし方が解りやすいです。最初から予想通りの高さにしてしまうと、枕を高くした方がいいのか、低くした方がいいのか解らなくなることが多い。また、高い枕から下げていった方が、ピッタリと合った時に楽になり「これだ!」解りやすくもあります。
② 呼吸が深く出来るかどうか、深呼吸をして確かめてみる。次に胸鎖乳突筋を触って硬くないか確認する。この時点では、どのレベルだと呼吸が深く入るのか、どのレベルだと胸鎖乳突筋が柔らかいといえるのか判断が付かないと思います。そこで、次に左右の足首を回して見て足首の硬さを左右で比べて見る。この時に片方の足首が反対側の足首に比べて硬かったら枕の高さが合っていません。そこで、バスタオルを1枚分低くします。
③ あとは1枚ずつバスタオルを低くしながら、左右の足首で硬かった方の足首が柔らかくなる位置まで枕を低くしていきます。そして。同時に呼吸の深さと、胸鎖乳突筋の柔らかさも見ていく。枕の高さを変えても、呼吸の深さや、胸鎖乳突筋の硬さが変わらない場合はまだ枕の高さが合っていません。
④ バスタオルを1枚ずつ低くしていき、枕の高さがピッタリと合うと、足首が柔らかくなり、呼吸が深く出来るようになり、胸鎖乳突筋が柔らかくなる。この状態になったら完了です。
枕の高さを合わせる指標は、呼吸、胸鎖乳突筋、足首以外にもあります。また人によって得意な部分、解りやすい指標は異なりますので、自分の解りやすい指標を探してもらう事が重要となります。
例えば枕が合っていないと奥歯を嚙締めた状態になっているのが、枕がピッタリ合うと、上下の奥歯が離れ、奥歯が浮いた感覚るという指標は結構解りやすいようです。
枕の高さを合わせる時の指標を書き出します。この中から自分の解りやすいものを2つ選んで、枕を合わせる時の指標とするのが良いでしょう。指標が1つだけだと、間違った高さになっていることもあるので、指標を2つにして両方とも確認した結果、枕の高さが合っていると判断した方がより正確です。
枕の高さを知る指標
・呼吸が深く入るかどうか?
・首の胸鎖乳突筋が緩んでいるかどうか?
・左右の足首の硬さを比べて、硬い方があるかどうか?
・顎の動き出しが、左右で違いがあるかどうか?
・奥歯が浮いた感じがあるかどうか?
次に枕の高さが合っていなかった場合、枕を高くした方がいい事もあるので、枕を高くした方がいいのか、低くした方がいいのかを判断出きるようにもならなければいけません。
それは、アゴで見ます。
自分のアゴが上がっていると思ったら、枕が低いので、バスタオルを1枚高くしてあげます。逆にアゴが下がっていると思ったら、枕が高いので、バスタオルを1枚低くしてあげます。
枕が高い:アゴが下がっている。
【イラスト】
高さが合っている枕:顔の面が真上を向いている
【イラスト】
枕が低い:アゴが上がっている。
【イラスト】
アゴが上がっている、下がっているというのは、人の枕を調整する時は目安になるのですが、自分の枕を合わせる時はアゴを意識するよりも頭を意識した方が解りやすいかもしれません。
頭が起きている、頭が上に上がっている、といった感覚の時は枕が高い状態。
頭が下に下がっている、といった感覚の時は枕が低い状態。
ちょうどよい高さの時は、頭が上がっても下がってもいない感覚、もしくは若干頭が下がっているような感覚の時に枕はちょうど良い高さになっています。